SHINK。|日本の工業技術にデザインと手しごとを

SHINK。|日本の工業技術にデザインと手しごとを


Manufacturing of SHINK。

SHINK。





 

01. introduction

SHINK。のはじまり

工場で端材として余っていた無垢の真鍮丸棒が、デザイナーの目にとまったことが、ことのはじまり。


1951年創業。金属精密加工を生業としてきた振興金属工業はかつてない危機を迎えていました。未曽有のパンデミック新型コロナウイルスの影響により、大幅に売り上げがダウン。先の見えない中で「何とかしなくては」と考えていたところに、インテリア好きの工場長を通じてクリエイティブ活動を行う『C&NEO』のひとりと出逢う。


”一緒に何かつくりませんか?”


インテリアデザインという、従来の製造業からはあまりにかけ離れた業界からのお誘いに、代表取締役社長の志水氏は、最初は戸惑いを隠せなかったものの挑戦を決意します。

プロジェクトメンバーに課せられたミッションは「社内にある端材、廃材、機械、人でつくること」。
メンバーと代表、そしてデザイナーのFILT.反端氏とともに工場内を巡り、どんなものをつくりたいのか考えていたときに、アイデアが湧きだすきっかけになったのは、金属を加工する中で必ずといっていいほど発生する金属端材。


SHINK。

この端材、中でも近年経年変化が楽しめると人気を集める「真鍮」の端材があることに着目したデザイナーがメンバーとアイデアを出しあっていきました。

一輪挿しからはじまり、皿、フォーク、さまざまなアイデアが交わされていく中で、「照明器具が自分たちの”モノを削る”という技術が最も活かせる」と、デザイナー考案のデザイン画に日本の工業技術で応えていきます。このデザイン画から設計を起こす部分のすり合わせが困難な課題になったものの、メンバーたちの経験、技術、そして何より熱意によるモノづくりがスタートします。


SHINK。 SHINK。


 

02. Origin of name

名前の由来

新 × THINK < 新たなる創造 >

「SHINK。(シンク)」の名は工場長が提案。
工場長:「SHINKO(振興金属工業)のOを『。』に変えました。SHINは新しいという意味で”新 × THINK”の造語です。社内にある端材を再利用し、商品を生み出すことで、大事な資源であることへの気づき、そして新しい価値を生み出す力があることを知ってもらいたいと考えています。」

その想いは社員に伝わり、徐々に輪が広がっています。


SHINK。


 

03. Factory tour

工場見学へ SHINK。

わたしたちは先日、SHINK。の製造工場へ見学に訪れました。
精密加工を行う清潔でピシッと整頓された現場には、代表や工場長の雰囲気そのままに温かい空気感が流れています。

今回は、miCan(ミカン)の切り出しから加工までの製造を見せていただきました。日本の工業技術の精密さを随所に感じることのできるmiCan。工場を見学して分かったその秘訣は、機械に頼るだけでない、手しごとの部分にありました。


SHINK。

端材として余っていた無垢の真鍮丸棒を、まずは自動制御マシンで切断していきます。自動制御とはいえ、細やかな調整は経験がなせる人の技。


SHINK。 SHINK。

丸棒状の真鍮の塊だったものが、コンベアからゆっくりと「C」のカタチとなって排出されます。見た目はもうmiCanです。


SHINK。 SHINK。

しかし、ここからの微調整は人の手の感覚で。機械では叶わない細やかな調整を1点1点丁寧に施している姿が印象的。


SHINK。 SHINK。 SHINK。

カタチの調整を行うと、最後にショットブラスト仕上げ※を行います。1点1点均一に加工していくのはやはり腕と経験が必要。ブラスト中は金属が削れるほどの衝撃が手に当たることを抑えるため、分厚いゴム手袋を着けていますが、これにより「手の感覚がわからなくなる」というデメリットが発生。

※ショットブラストとは、金属などの表面に投射材(細かい砂や鋼製・鋳鉄製の小球。ここではセラミック球体)を吹き付けたり衝突させたりすることで、表面に小さな凸凹を作り、表面を粗くする加工方法。SHINK。の商品ではブラスト仕上げにすることで、マットな上品さを演出している。ここでは照明のブラスト加工をみせてもらいました。


SHINK。 SHINK。

粉塵のような微細なセラミック球体が、ピカピカとした真鍮をマットに上品に仕上げていきます。作業途中で比べたもの(写真参考)は、ブラスト後はペタッとした金属らしい触感から、さらさらとした触り心地へと変化していることがわかります。


SHINK。 SHINK。

一見表面に加工がされることで触っても大丈夫なのかと思いきや、表面の酸化被膜を削ってしまうため、ブラスト前よりさらに手で触ると変色してしまうとのこと。ピカピカきれいな真鍮も素敵です。しかし、神経質に使うより、道具として人の暮らしに寄り添いたいと考えるSHINK。のアイテムは時とともに移りゆく色の変化を楽しめる方にぜひ手に取っていただきたいのです。

長年使って一度キレイにしたいなと思ったときには、表面を削り直せばまた、新品時のような美しい真鍮が顔を出します。これは無垢材にしかできないお直しです。木と一緒ですね。
※お直し希望の方は、当店まで。


人の手が欠かせない製品につき、大量生産はできません。作り手の想いが詰まった工業技術×手しごとのSHINK。のアイテムたち。長く大切に使っていただけるよう、わたしたちが大切にお届けいたします。









SHINK。

SHINK。

" 新たなる創造を "

そう名付けられたSHINK。は、1951年創業、金属精密加工を生業としてきた振興金属工業が、日本の工業技術にデザインを取り入れ、デザイナーFILT.反端氏と共に今までにない感性で新たなプロダクトを生み出そうと2021年8月に誕生。

無垢、真鍮の塊から彫刻のように削り出したプロダクトは、溶接やネジを使わないから破綻がなく美しい。

縦横比、表面の仕上げの質感、意匠性。ナノ単位で調整される誤魔化しのないデザインは、工業製品を作り続けてきたからできる、継ぎ目のないミニマルな美しさ。作家ではなく、職人ではなく、工業技術だからできるデザインです。

真鍮を空間に加えることで上質なインテリアに。
見せかけではなく無垢の素材を。



Product design|Management:FILT.反端
Manufacturer:進興金属工業株式会社


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